がんの基礎知識
犬のがんが増えています。
がんは早期発見、早期治療が大切です。
がんで亡くなる確率
近年、環境や栄養状態が良くなったことで、ペットの寿命も延び、がんで命を落とすペットも少なくありません。人間と同様に、肥満や生活習慣病が増え、ペットもがんになる確率が高くなったのです。
がんは、人間にとってもペットにとっても暮らしや食生活の豊かさの中で増えた現代病の一つです。
運動やストレス、食生活など、がんの発症は、生活習慣の影響を大きく受けます。
ペットも人間と同じように生活習慣を見直し、しっかりと管理しないと、がんにかかりやすくなります。
また、猫のがんは犬よりも悪性の確率が高く、転移しやすいため早期発見が大切です。
しかし、がんと診断されても、直径2~3mm程度の早期段階で発見できれば手術による切除が可能です。
それ以上の大きさに進行していても、適切に治療をする事で治癒の可能性も高くなっています。
飼い主さんは日頃からご自分のわんちゃん、ねこちゃんの異常サインに注意し、手遅れになる前に、早期治療を行いましょう。
がんにかかりやすい犬種
乳腺腫瘍
避妊していないメス犬やメス猫全般がかかりやすいのが乳腺腫瘍です。
メス犬やメス猫は幼いうちに避妊をすることで乳腺腫瘍になるリスクを回避しやすくなります。
皮膚腫瘍
ペットが高齢になると皮膚腫瘍にかかりやすくなります。
老犬、老猫になると、おできをただの皮膚炎だと思いがちですが、毛が抜けたり、おできやただれを見つけたりしたら早めに診察をうけることが皮膚腫瘍の早期発見につながります。
血管肉腫
血管肉腫は血管のある臓器ならどこにでも発症する可能性のあるがんですが、ゴールデンレトリバー
ジャーマンシェパード、イングリッシュセッターなどの犬種は遺伝的な原因からか、特に血管肉腫にかかりやすいことが知られています。
その他、老犬、老猫になると、発症しやすいがんです。
リンパ腫
リンパ腫は、体のリンパ節に発症するがんですが、体のあちこちに発症しやすい犬種が、ラブラドールレトリバー、ゴールデンレトリバー、コッカースパニエル、ボクサーなどの犬種です。
あごの下や前足や後ろ足の内側などが腫れていたらすぐに診察を受けましょう。
骨肉腫
骨肉腫は大型犬全般に発病しやすいがんです。
脚やあごの骨などに発症し、進行すると激しい痛みがあるため、脚を切断することもありますが、当院では分子標的薬やメトロノーム治療(抗がん剤シクロスファミドを投与)を行うことで、できるだけ痛みを抑えて普段の生活が続けられるような治療を考えます。
肥満細胞腫
肥満細胞腫はおもにボクサー、ボストンテリア、パグ、ゴールデンレトリバーや、高齢になった犬や猫に発症しやすいがんです。まれに若い犬にも発症することがあることから、早期発見が重要です。
皮膚に異常な皮膚炎や治りにくい炎症などを見つけたら早めに診察を受けましょう。