口腔内メラノーマ(悪性黒色腫)免疫療法の進歩について
2019.08.13更新
口腔内メラノーマ(悪性黒色腫)は、老犬に多く見られ上顎、下顎骨切除や放射線治療など全身麻酔下での生体にダメージが大きい治療にもかかわらず、周辺リンパ節や肺、脳などに転移し、治療の甲斐なく短命な結果に終わります。
もともとメラノーマ(悪性黒色腫)は抗原性が高く(宿主の免疫細胞に発見されやすいこと)本来なら免疫細胞の標的となり破壊されてしまうはずなのに、なぜどんどん大きくなってしまうのでしょう。
それは、癌細胞が宿主の免疫細胞から身を守るため表面にバリアとなる分子を発現(防弾チョッキを着る)したり様々なサイトカインと呼ばれる液体分子を出す(戦闘機が妨害電波を出す)ことにより免疫細胞を無力化してしまうからです。
分かりやすく説明すると、いくらアガリスクやAHCC、コルディG、イペットSなど免疫増強サプリメントだけを与えても自動車で例えると、アクセルを踏み続けてもブレーキを解除しなければ車は前に進みません。
やがてエンジンが壊れ車が廃車(すなわち体力を消耗して悪液質となり死に至る。)となってしまいます。
そこで当院では、アクセル、すなわち免疫を増強させるために注射薬(ルペオール、犬用インターフェロン、丸山ワクチン)を二週間に一回皮下注射し、ブレーキを解除するため分子標的剤のトセラニブ、非ステロイド系抗炎症剤やシメチジンを用いて治療を行い大きな副作用も認められずほぼ全頭に、元気食欲増進、腫瘍の縮小が見られ飼い主さまから好評をいただいております。一部の症例の使用前、二週間後の顔写真を掲載しておきます。
私に最短二週間長くても一か月の治療時間をください。それで結果がでなければ、いさぎよくこの治療から手を引きます。
なお、この治療については院長獣医師の東條雅彦にご相談、お電話ください。不在の場合こちらより連絡させていただきます。
院長 東條 雅彦
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